私たちの被害が「投資は自己責任」にあたらない理由

投資の損害と詐欺の被害の違いを知ってほしい

SI被害者同盟は、スルガ銀行による不正な融資の被害者の集まりです。

被害者の多くは、「将来の安心のために、資産運用したい」と考えていた一般のサラリーマンでした。資産運用は投資なので、リスクがあります。株やFX、不動産投資も、損をしたら自己責任というのは世の中の共通理解だと思います。

ですが、シェアハウス「かぼちゃの馬車」事件で表面化し、大きな社会問題になったスルガ銀行の個人向け不動産ローンは、契約者をだます目的で不正な書類の偽装や粉飾が行われていました。投資判断を歪めるような不正が意図的に行われていたのです。

私たちは投資の損害をだれかに補填してほしいと訴えかけているのではありません。スルガ銀行を中心とした詐欺スキームの詐欺被害を回復したいと訴えているのです。

私たちは不正に改ざんされた投資判断資料で被害を受けました

私たちは投資を失敗して損をしたので、その損害を補填してほしいと主張しているわけではないのです。私たちは、自分たちの人生がかかった大きな投資判断を、不正に粉飾された書類や手続きでゆがめられた被害を回復したいと主張しているのです。

被害者の中で少なくない人数が、スルガ銀行主催の不動産投資セミナーを受講しました。その中で、

・物件金額の100%をスルガ銀行が融資する
・購入したアパート・マンション・シェアハウスの家賃で、融資を返済できる
・賃料保証会社がいるので、家賃は保証されている。
・こうした仕組みがあるため、預金が20万円しかなくても1億円以上する物件を購入できる。
・もしこの仕組みが嘘ならスルガ銀行が融資するはずがない

という説明をスルガ銀行や共催講師として登壇した不動産業者から受けました。私たちはその説明を信じました。なぜなら実際に融資申請が通ったからです。スルガ銀行という大企業が、私たちに説明し、実際に融資を決定したから私たちは信じたのです。

不正な改ざんや粉飾

「営業トークを信じた私たちが間違っていた」「銀行が融資してもリスクがないわけがない」というご意見は理解できます。ですが、お伝えしておきたいのは、私たちは投資を失敗して損をしたので、その損害を補填してほしいと主張しているわけではないのです。

私たちは、「投資判断を、不正に粉飾された書類や手続きで、ゆがめられた被害」を回復したいと主張しているのです。こうした被害者の投資判断を歪め、不当に利益を得る行為は、投資詐欺と呼ばれます。

私たちは、フルローンができると説明をうけました。預金金額が20万円しかなくても物件を購入できると説明を受けました。収入が年収500万円あれば融資を受けることができると説明されました。私たちは物件の賃料を保証会社が保証するので、収益は確定していると説明を受けました。

融資は実際に実現しましたが、中身は嘘や誇大な説明で、不正に実現されたものでした。

投資の損失補填ではなく、詐欺被害の回復を望んでいます

私たちは数億円の投資用の不動産物件を自分たちの生活の安定を得るために借金して購入しました。その不動産物件が不当に高い値段だったことに気が付きました。入居率が低いので、家賃保証を継続できないと家賃保証会社から告げられました。入居者を募るために多額の広告費が必要だが、行っても入居者がはいるかどうかはわからないと告げられました。築年数が古いので大規模修繕を行うと大赤字になると管理会社に告げられました。私たちは確かに投資を行い、期待よりも儲からず、損をしています。

誇大な説明を信じた私たちが損をするのは自業自得です。その点を世間の方々が指摘する気持ちは理解できます。

ですが、投資判断を行う際の基礎的な資料が粉飾され偽装されたものだったとしたらどうでしょうか。本来は借りることができない融資を粉飾した不正な資料であたかも当然借りることができると説明されたとしたらどうでしょうか?こうした事実を認識できないように隠された上で、投資判断を迫られたとしたらどうでしょうか?

相手をだまし利益を得る行為を詐欺というと思います。投資に関して不正や粉飾を行い正しくない判断材料を提示し、利益を奪い取る行為を投資詐欺というと思います。

私たちスルガ銀行不正融資被害者は、投資の損害を誰かに補填してほしいと主張しているのではありません。だます目的で粉飾された投資判断材料を提示された結果、被った被害を回復したいと願っているのです。

私たちは投資詐欺で被害をうけました。私たちは投資詐欺の被害者として救済を訴えています。私たちは詐欺の被害を回復したいのです。

被害者をだましたスキームの中心(ハブ)がスルガ銀行だった

私たちははじめ不動産業者にだまされたと思いました。「こんなはずじゃなかった。なんでこうなったのか?」ほぼすべての会員が、感情的に不動産業者に詰め寄りました。その結果驚くべきことに、スルガ銀行の指示で書類の改ざんや無理な融資申請をおこなったと私たちに説明する不動産業者が多数いたのです。全国100社以上の不動産業者が、スルガ銀行を中心に投資用不動産を販売していたのです。スルガ銀行が用意した仕組みは、スルガスキームと呼ばれていました。

スルガ銀行が個人用不動産投資ローンを販売することに問題はありません。

ただ不動産業者と結託し、不正に偽装や改ざんされた書類を基に、不動産を購入した人が損害を被る融資を組織的、継続的に取り組んできたことが問題なのです。

スルガ銀行の行員が、営業成績を上げるために、不正な書類改ざんを指示したり示唆して犠牲者を生み出してきた構造が大きな問題なのです。

私たちは、組織的な詐欺の首謀者が銀行だったので、スルガ銀行に詐欺被害の回復を求めています。こうした人を不幸にするスキームを組織的に推進し、詐欺被害を拡大し続けた銀行に責任を問うているのです。